最近あまり耳にしませんが、私はコスモポリタンという言葉に魅かれていました。国を超え人種、宗教、イデオロギーなどに縛られることなく世界中のどこでも地球という単位で生きるというような意味においてです。
ところで、日本は2018年12月、世界にIWC(国際捕鯨委員会)脱退を宣言しました。IWCの加盟国には捕鯨を禁止しようという国が多くなり、資源確保さえできれば捕鯨をつづけていこうという日本の主張に賛成が得られないという理由です。
鯨を食べて何が悪い? これは伝統の食文化であり、鯨肉に依存している産業もあるのだから、その人達が食っていけなくなる、どうしてくれるんだというわけです。しかし、何年も鯨の捕獲を減らしてきて味も忘れ、ぜひ鯨を食べたいという人間も減っただろうし、食べたことがないという世代も増えているはずです。鯨を生業としている人口も大幅に減少しているはずです。 どうもIWCの脱退というのは行き過ぎな気がします。
人間は、しょせん他の生命を食らって生きているのですから、資源管理さえできていれば鯨でも牛・豚・鳥でも同じことだというのは正当な理屈です。たぶん鯨を食べるなという人々は、それを犬・猫を食べるような感覚で見ているのでしょう。感情・感覚と争えば大きなしこりが残ることが心配です。コスモポリタン的観点で考えれば、70億を超え90億にも達すると言われている人口を支えていくためには、昆虫食や藻類由来の食料などの新しい食を考え実行する時に来ていると言われています。資源として育てるのに効率の良い生物資源に切り替えて行くべきだということです。そうなれば「鯨もいかんが、牛も豚も鳥も可哀そうだからいかん」と日本から世界に発信していくことだって考えられます。
金井章男